マンションオーナーの悩み(25)困った事Ⅺ
鉄筋コンクリート建築の内装
鉄筋コンクリートの建築物は、型枠という枠の中にコンクリートを流し込んで固めて造ります。
最近の型枠材質は、鉄製か木材の場合はコンパネですが、打ちっぱなしで外壁をコンクリートのままにする場合は、
片面に塗装した物を使っています。
さて内装ですが、木造の場合はよほどの欠陥住宅以外は直角水平が保たれていて、内装工事も寸法さえ判れば
角度は90度と決まっていますが、コンクリートの場合は、そうではありません。
内装工事の職人でも、それを知っていて慣れた人は良いのですが、たまには木造と同じ考えで材料を裁断し、変な
場所に隙間が出たりする場合があります。
工務店の親方が、「世の中に直角水平なんてあるわけねーだろう!」と怒鳴っている事がよくあります。
例え床材のフローリング工事一つにしても、構造コンクリート壁は真っ直ぐでは無く、凹みもあれば出っ張りもあります
から、間仕切り用の壁と違い、コンクリート壁に面した場所はそれなりに工夫が必要です。
ここで言う凸凹とは僅かな1~2mm程度の違いですが、フローリング等内装ではそうした小さな隙間でも目について
気になるものです。
クローゼット等の内装リフォームの場合は、真っ直ぐな木材を使って凸凹のコンクリートの面に固定するのは、水平
や垂直を計りながら、隙間を埋める詰め物を木材で現物合わせを行い、接着剤でコンクリートに接着して行くのです。
近年では、こうした造作は大工さんが一つ一つ手作りするのでは無く、住宅設備メーカー製のキットを大工さんがその
場に合わせてカットする程度で出来上がりますから、大工さんの仕事は主に、下地造りと言って直角水平の下地を木
材を使って作るのが主な仕事と言っても良いくらいです。
近年では家具などの接着は別としても、こうした造作にはエポキシ系接着剤を多用する様になっていますが、木工用
ボンド等と違い、エポキシ系接着剤は二液性ですが水に強く、耐久性は接着剤の中では最も優れていると言えます。
近年になって、エポキシ系接着剤の種類も大変多くなり、硬化時間の長い物から短い物まで、又本剤と硬化剤を混ぜた
時の硬さも液体の様なシャブシャブな物まで有り、この粘度の低いエポキシ接着剤はコンクリートに良くあるヒビ(クラック)
に注入してクラックを止める事が出来ます。
又、コンクリートの打設には、一旦固まったコンクリートに新しいコンクリートを打ち継ぐと、その境目は物理的に結合せず
水漏れや強度的に接続せずに重大な欠陥になりますが、こうした打継ぎに使うエポキシ接着剤も出回っています。
コンクリートは通常表面にモルタル等薄く塗って仕上げ面を作りますが、そうした場所にはよくクラックが入ります。
建築物は一つ一つ違う物で、完全な物など無いかも知れません。
窓や出入り口はコンクリートの壁に穴を開けた様な形になり、コンクリートが固まる時の収縮歪みや、地震等の応力が掛
かる場合にその配置や応力の掛かり方に違いが出来ますから、開口部周辺の鉄筋の配置は他の場所より補強する事
になっています。
そうした事からも、クラックが入る事が容易に起こると推測出来ます。
こうしたクラックによって空気に触れると、本来アルカリ性のため内部の鉄筋が錆びないで強度を保つ筈の物が、空気
に触れて中性化して鉄筋が錆びると、その錆の為に爆裂という破壊が起きます。
インフラの補強工事が話題になっていますが、こうした爆裂は橋や道路等の公共施設でよく目にする事が出来ます。
トラックバック(0)
トラックバックURL: https://www.wisteria-umegaoka.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/97