壁構造とラーメン構造
壁構造とラーメン構造 外断熱・壁構造のRCマンションになったわけ(16)
繰り返しになりますが、大雑把に言えば壁が構造体になっている建物の建築様式を、壁構造又は壁式構造と言って
います。
壁自体が構造体ということは、柱や梁(はり)だけが構造体になっているラーメン構造(軸組構造)とはだいぶ違うので
す。 要するに完全に構造的に計算されている壁で、軸組では筋交いによってその役を担います。
木造の古代建築ではトラスを用いないのが普通でしたが、近年(明治以降か)ではトラス構造にして、軸組を補強してい
る様です。
近年、木造では、構造用合板という面材を使い、壁を体力壁にしたものを言う様です。
木造住宅の耐震性を強化する為に、構造用合板を打ち付ける工事も多く行われています。
通常のコンクリート造りの建造物は、ラーメン構造が多く、理由は、間取り間の壁が構造体では無いので、柱以外の
物は自由に変えて店舗や事務所などの模様替えが簡単に出来ることです。
その他、高層になれば、以前は鉄筋コンクリートだけでは材質的に無理があると考えられたのが、最近ではコンクリー
トの強度を昔の何倍にも出来る様になったので、地上60m超の超高層マンションでもRC造りが増えているそうです。
又、 鉄骨造りや鉄骨鉄筋造り高層ビルでは、当然のことに基本的にラーメン構造になっていますが、近年の物は柔
軟性をうまく使って、長周期振動の耐震性を増したり、風圧による影響が研究されている様です。 軸組構造で一番理
解し易いのは、在来工法の木造住宅があります。
木造在来工法での例
柱と梁が基本的構造体で、柱と梁の接合店(仕口)の強度が弱いので、柱と柱間に斜めの筋交いを入れて、壁面の
構造を硬くしてゆがまない様にします。
昔は、柱にホゾ穴を掘って、梁の先端をホゾ穴に入る加工をしていましたが、地震の際、そのホゾ穴から折れることが
判って、最近ではホゾ穴に頼らず、金具で留めることになっています。
ホゾ穴とは、柱に直交する梁を入れる穴を掘って組むための穴のこと。
在来工法で普通に行われていましたが、せっかくの柱が途中で穴の分だけ欠損したことになり、強度を失うので最近は
行わないのです。
しかし、不思議な事に、5~60年前では、二階建ての家には必ず通し柱と言って、特別に家全体に通し柱を何本か入
れていましたが、実際いは、ホゾ穴の為に通し柱にする意味が無かったわけです。
在来軸組構造のホゾ穴

軸組構造の泣き所は、直角に柱や梁が接合されるので、どうしても応力が接合点に集 中してしまい、接合部分は剛性を高めなければなりませんが、木造の場合は困難で、以前の物は金具で止めても完全では無く、釘穴から木材にヒビが入ったりし て、長い期間ではその剛性は限定的になると思っています。
最近は、ボルトを使って止めていますが、全てに使用した木材の強度を使い切ることは困難と考えます。
在来工法の羽子板ボルト

ホゾ穴を開けず、羽子板ボルトと呼ばれる金具を使用してボルト締めする。
この他、特殊な金物を用いてピンを入れて、施工時間の短縮をしている金物工法も多いが、木材の乾燥度合い等によって、収縮があるので、金属との相性は必ずしも良いとは言えないという意見も有ります。
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