新米大家奮闘記(13) 水の介在
水が介在すると起きる多くの面倒
空き部屋というものは、退去に際し、立ち会いを行いますが、気付かない場合も沢山有ります。
初めの間は、出窓に鉢植えをい置いたために、水が漏れて変色し、そのままでは修理不能となってしまいますが、だか
らと言って入居者を責めるわけには行きません。
昔の人はいわゆるニス塗りの物には水濡れで変色する事を知っている人が多かったのですが、若い人は、親の家に住
んでいても、そんな知識を得る機会は少ないと思われるのです。
出窓自体は建物から飛び出た構造なので出っ張った部分はアルミ製のガラス窓だらけの出っ張りですから、躯体の外
断熱構造からは切り離されたも同然で、結露の影響を免れません。
出窓の板に木材を使う事自体釣り合いの取れた材料では無いと思われます。
それもごく薄い突き板のフラッシュ構造ですから、殆ど綺麗な修理は不可能です。
それにしても、出窓に植木鉢を置く人が多いのです。
次に困るのは、ステンレス製の流しに缶詰の空き缶など、鉄製の物を置いて付いたと思われる丸い跡が付いて腐食し
ているのです。
鉄とクロム等の合金であるステンレスは、通常錆びないと思われがちですが、鉄錆にはとても弱くて、水が介在すると一
日でも跡が腐食してしまいます。
ベランダの手すりも同じ理由で、鉄製の物を接触させると錆びてしまいます。
世の中の金属にはイオン化傾向と言うのが有って、イオン化傾向の大きい物が溶けてイオン化傾向の小さい方に還
元されて元の金属が無くなってしまうのです。 特に水や他の液体が介在すると簡単に起きます。
普段良く見るのは、ボイラーなどの鉄製のパイプが溶けて、銅合金のパイプの方に行くのを制限するため、中間に鉄よ
りもイオン化傾向の大きな亜鉛の塊を置いて、鉄が溶けるのを防ぐのです。
船舶用エンジンでも、一時冷却水は海水、二次冷却水は真水なので、エンジンの中には多くの亜鉛棒を沢山入れる様
な構造になっています。
よく見えるのは、漁船等が陸揚げされている時にスクリューや舵の所に、亜鉛の塊が付けて有りますが、そのためです。
電気的に接触していないと意味が無く、船内で電線で繋がっていたりします。
もっとも、現実はもっと複雑で、現在使われている金属は殆どが合金で、色々な物が混ざった状態で使われています。
従って、銅(Cu)と亜鉛(Zn)の合金で有る黄銅で出来ているスクリュウ等も中に含まれているあらゆる金属(主に亜
鉛)が減ってしまいます。
次に有る元素記号は左側がイオンに成りやすく、右に行くほどイオンに成り難いのです。
鉄(Fe)が溶けて銅(Cu)の方へ行ってしまうのを、間に入れた亜鉛(Zn)が変わって溶けるので鉄の溶けるのを防ぎます。
海水に浸かっている船舶はこうした環境に有り、漁船でさえ、年に何キロも亜鉛の塊が溶けてなくなります。
金属のイオン化傾向
K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>Cu>Hg>Ag>Pt>Au
カリュウム>カルシュウム>ナトリュウム>マグネシュウム>アルミニュウム>亜鉛>鉄>ニッケル>スズ>鉛>銅>水銀>銀>白金>金
水道水又は海水など不純物の混じった水分が介在すると、左から右へ移動します。
ごく手短かの水は何かしら不純物が混合して居ますから、電気分解の電解液になると心得る必要がありそうです。
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