マンションオーナーの悩み(2)コンクリート
建物の管理
建物の管理を他人に任せると、おそらく各職種別に業者に丸投げする事が多い筈ですから、出来るだけ自分でやる事です。
自分でやるといっても、本当に大工やペンキ屋になるわけでは有りません。
何処が補修の必要が有るかを見る目を養う事です。
殆どの場合、いち早く見つければ、費用が安くつく場合が多いからです。
建物の構造や材質によってかなり違いが出るのですが、例えコンクリートでも、野ざらしは駄目です。
コンクリートはセメントに骨材(砂利・砂)と水を混ぜて固めた物ですから、アルカリ性ですが、水によって、セメントだけが流れて
出てしまいます。
雨漏りなどでセメントが流れ出ている場合は白く析出して見え、一般にエフロと呼んでいます。
ですから、必ず表面を保護しないといけません。
そのため多くは、タイル貼りの外壁ですが、最近の建築で多いのは、打ちっぱなしと言う、コンクリートの肌をみせるデザインで、
型枠の通りの跡が見える施工法です。
この方が少し安く出来ますが、本当に打ちっぱなしで、表面をそのままにした場合の話ですが、後に起こるメンテ費用の事は
考えていないと言って良いのではないでしょうか。
表面に撥水剤を塗布する場合は、その費用や、撥水剤の寿命もありますから、そんなに長持ちはしないでしょう。
よく、撥水剤の塗布は、表面的な外観を保つためと言う人が居ますが、必ずしもそうとは決められません。
何故なら、前記の様にセメントだけが流れ出て、ザラつきの有る表面になれば、外観は勿論表面積が多くなり、中性化の速度が
早くなるかも知れません。
最近では撥水剤の塗布をする建物が増えて居ますが、表面から塗布する材料は、最大5年未満が普通なので、かえってメンテ
費用が掛かってしまいます。
建築中の外壁作業は、足場が有りますが、築後のメンテでは、そのためだけに足場を組んだりしますから、費用が増えてしまいます。
設計事務所は打ちっぱなしを勧めることがよく有りますが、考えて決めないと安物買いになってしまいます。
コンクリートは前記しましたが、風雨によって、表面のセメントが流れ落ちて、ザラザラになり、水分の乾きが悪くなって、カビが生え
易く、黒くシミになって全体に打ちっぱなしの綺麗さは保たれません。
その他、コンクリートでは、仕上げのモルタルを含めて、収縮目地を上手に入れておかないとクラックが入り、水の侵入で、
鉄筋が錆びたりすると、爆裂して大変な費用が掛かります。
最近はそうした箇所を補修する工法や天井スラブ等の補修にもタレが無い専用のセメントも販売されていますが、職人の技量
に委ねている事に代わり有りません。
コンクリートの鉄筋は型枠から30mm程度内側にするのが、常識ですが、複雑な形の場所では、本当にそうなっているかしっかり
監理してもらう必要が有ります。
爆裂箇所を見つけたら、周りのコンクリートを削って錆びた鉄筋を出して、エポキシ系の錆処理剤を塗布し、接着性の高い
補修材で処理します。
収縮目地をどう入れるかは、施工業者に任せる場合が多いのですが、しっかり確認しないと、おかしな所にクラックが入ります。
クラックの入る場所は、経験則で判っていますが、設計事務所や施工業者はそうした決まった一種のルーチンワークを
簡単にする為に、配筋の設計などを型にはまった仕様で行う傾向が有りますから、きっちりチェックしないと、窓枠の周りに
クラックが入ったりします。
収縮目地には、コーキング材で保護しますが、これも寿命がそうは長く有りませんし、場所によっても違いが出ます。
陽の良く当たる場所や、風雨にさらされる場所を見ておいて、コーキング材が硬くなって隙間が出来始めたら、打ち換えします。
耐候性の強いコーキング材は、2液性が多いので、専門職に頼むのが安上がりかも知れません。

打ちっぱなしコンクリートが汚れた例
丸い凹みは型枠の跡

上の写真を一部拡大
細かいクラックや穴が沢山見えます
スベスベ感はありません

雨水によってセメントの石灰分が流れ出て白く見えます
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