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新米大家奮闘記(9) 屋内配線
見そこなった屋内配線工事
後で後悔したのは、内装関連工事について殆ど打ち合わせも無く、ゼネコンの思った様に作ったかどうか、少し貧弱
な感じのものですし、電源の配線、当マンション商用電源は、こちらの希望で、単相三線式、単相だが、三本の線で供
給され、普通は白を中性線として、他の赤や黒との間にそれぞれ100V、赤と黒の間ではで200Vとなるので、簡単に
言えば、二線式100Vの倍の容量が使えると言うものです。
例えば、ブレーカーの契約容量を50A(50アンペア、申請すれば60Aまで)とした場合、100Vでは片側で(赤白)
100×50=5000 5KW
もう一方(黒白)で 100×50=5000 5KW となり、10KWまで使用出来ます。
ですから普通の100Vのみの給電の倍は使えるのです。 料金は違いますが。
しかし、二つの問題が有って、一つはエアコンは大容量なので、別に扱いますし、家庭内の配電盤の中で容量20A
の小さいブレーカーを介して実際の照明器具やコンセントに配線されるため普通に使われるFケーブルでは15Aなの
で、100×20=2000 となり、2KWまでしか使えません。
それに電線一本の容量を15Aとすれば、1500Wまでしか使えません。
この両方の条件を満たしながら振り分け出来るか。
当マンションでは、20Aの小型ブレーカーが6個有りますが、エアコン2台に各1個を使い、他の4個のブレーカーに
振り分けるとすれば、
借りに2台のエアコンが各20Aづつ40A・・・100×20×2=4KW 10KWー4KW=6KW
この6KWを20A二個の小型ブレーカーに振り分けると、
片側3KWづつとすれば、1個の小型ブレーカーに付き1.5KWづつとしてピッタリです。
単相三線式では、バランス良く使うのが建前ですが、宅内ではなかなか難しいことです。
ところが、照明器具も部屋のコンセントも同じ小型ブレーカーから配線されている部屋が見つかったのです。
早く見つければ施工業者の瑕疵(かし)で修理させる事が出来ますが、仕方無く自前で修理出来る所は順次やり直し
て居ます。
最近はIHヒーターなどが多く使われていますから、おおきな容量に向いた配電をしている所が有りますが、当時は
わざわざ三線式で宅内配電盤に入れている住居は少なかったのです。
そして、電気配線の内容をいちいち調べる人も少ないのか、建築時の工事を行う電気工事屋は無責任な仕事がまか
り通っています。
新米大家奮闘記(8)
現場事務所での打ち合わせ
ゴミ置き場については、当時世間ではいろいろ物議を醸し出す事が有って、ゴミの捨て方や、置き場に関する問題が
多かったのです。
ですから、清掃局の車が来た時だけゴミを取り出せる様な仕組みを考え、清掃局に問い合わせたところ、ゴミ置き場か
らの取り出しはやっても良いとの返事をもらいました。
それではと現在の形に落ち着きましたが、本当は自動的にゴミ箱を道路に出す様な機械のアイディアを考えてはいまし
たが、あまり誰も信じて居なかった様です。
現場事務所での打ち合わせの度に、新しい知識が増えて、それは結構楽しいものでもありましたが、何しろ時間が
無いのが唯一の欠点ではありました。
躯体関連の基本設計は設計事務所の腕を信じて、素人の出番はタイルの色とか、床板の種類など何処の新築住宅
でも施主が決める事に絞られています。
タイルの色は、当時申し合わせた様に白いタイルのマンションばかりだったので、へそを曲げてグリーン系のもしも
森の中に有っても違和感が無いかも知れない様な色にし、ラスター掛けと言う、普通に焼いたタイルにもう一度金属
を混ぜた釉薬を塗ってもう一度焼くというもので、ちょっと洒落てみる事になりました。
数十枚のタイル見本を数種類作ってもらい少し遠くから眺めて決めました。
新米大家奮闘記(7)
工事は始まったけれど
電気メーカーのサラリーマンだったので、丁度或るプロジェクトが終わって、それを事業化するための量産手法の開発
に携わっていましたので、職場は三浦半島に有り、現場事務所の打ち合わせに出るのは夜中になってしまいます。
施工業者は入札で決め、あの黒部ダムの工事に関わった一部上場会社に決まっていました。
当時は、リゾートマンションの建設に忙しく、こうした小さな規模の工事は今後やらないと言う事でしたが、外断熱という
あまり多くない工事なので大手建設会社に決まって内心ホットしていました。
現場事務所では、週一で打ち合わせが有り、色んな事や物を決めなくてはいけません。
こちらも期間を決めての仕事ですから、夜中までの勤務になってしまいます。
三浦半島から駆けつけるのは結構大変でした。
数十項目の議題が有り、即決を求められます。
しかし、不思議なもので、40代半ばを過ぎた頃から、結構即決で物事を決められる様になっていましたから、そんなに
苦痛ではありませんでしたが。
それにしても、住居建築というものはありとあらゆる職種が関わり、それぞれにノウハウが有って、勉強させられました。
景気動向を表す指標の中に「住宅着工件数」というものがある訳が解る様な気がしました。
工業製品の殆どはJIS規格などの規格が有って、別の職種に属する物同士の連結にはそうした他の規格も知らなくては
ならない事がとても多いと判りました。
特に規格が無くても、安全性や寿命の観点から、或る種決まった設計や施工方法が有って、結構面倒なものです。
ウィステリア梅ヶ丘のゴミ置き場は、居住棟から離れて独立して建っていますが、その工事を見て、びっくりしたのは、
基礎工事をするのに、地面を深く掘って、大人の腰位も、物凄く太い鉄筋を配筋していたので、思わず設計士に「どうし
てゴミ置き場にこんなにお金を掛けるのですか?」と聞くと、その設計士氏は、「計算通りやるとこうなるんでですよね」
と言います。
何の計算通りか解りませんが、馬鹿ばかしいので、そんなに丈夫にする必要があるなら別として、普通にやって下さい
と注文しました。 勿論基礎がやわで壁が倒れる様では困りますが、そのままでは明らかに過剰品質です。
新米大家奮闘記(6)
一年の損害
当然、設計事務所にも少しは責任が有りますが、こちらとしては素人ですが、納得行く説明が無いと借金だけが残
る悲惨な目に合うのは目に見えているので、どう追求してもちゃんと調べているとの返事だけで、抽象的で電話だけ
で調べて居る様子に、とうとう自分達の足で調べる事にしました。
その結果判った事は、そんな一等地では無い事と、都心に通うサラリーマンの若い世代が多く住む場所でしたから、
部屋も大きなファミリータイプでは当然部屋代も高額になってしまい、地域的に不相応との結論になりました。
かくなる上は、一からの出直しと腹を決めて、税理士事務所にて首を言い渡す事になりました。
バブル絶頂期の事ですから、土地家屋調査士と言えば時代の寵児的職業の人ですから、かなりの抵抗が有る事は
想像していましたが、実際には大した抵抗も無く、否を認めた様な形になって、成功報酬は払う必要は無くなりました
が経費だけは払って欲しいと言います。
交通費と電話代ですが、それにしては高額ですが、まぁバブル値段ですから、これで縁が切れるならと手を打つことに
したのです。
しかしこれは大きな損害になります。
設計はそのコンサルタント氏の言う大きなファミリータイプのままでほぼ出来ていますから、やり直しになりますし、コン
クリートの打設時期は冬場を避ける事で一致していましたから、どうしても一年は伸びてしまいます。
当時も、気温の差を調整する添加剤は有りましたが、収縮率やクラックなど不利な事が多いし、現場の監理項目が多く
なるわけですから、現場の負担は少ないことに越したことは有りません。
それに確か床面積が二千平方メートルを境に公園や防火貯水槽等々費用が嵩むのです。
そして施主が決めなくてはならない項目が物凄く沢山有りました。
普通の住宅でもそうですが、部屋の床板から屋根瓦まで、ありとあらゆる選択肢が有ります。
よく、マンションを一つ建てると病気になると言う話が有りました。
きっと現役を引退した人だからかも知れませんが、当時の勤務地は三浦半島にありましたから、週一回の打ち合わせも
大変でした。
新米大家奮闘記(5)
不動産コンサルタント(信用とインチキのせめぎ合い)
お金の事は何とか目鼻が付きましたが、場所に合った質を考えなくてはいけません。
素人が当てずぽうで色々考えるのでは無くて、誰か本格的なコンサルタントでも居れば良いのにと思いましたが、
未だ日本では本格的なコンサルタント業は少ないと以前から思って居ましたが、もうそろそろきちんとした仕事をす
る人も居るだろうと、設計事務所との打ち合わせでその事を言うと、或る土地家屋調査士の肩書きを持った人を紹
介されました。
元々コンサルタントをするには、その職種に精通していて、相談する人に適切なアドバイスの出来る人なので、未
だ日本では無理かなぁ・・・要するに或る事に疎い人の相談に乗るのですから、その人が善し悪しを見分ける能力な
ど有るわけが無いから、皆怪しんで頼む人が居ないと思ったからです。
丁度東京都が東京湾岸一帯の開発をやっていて、倉庫群の有った辺りの土地を地上げするのに代替え地等の斡旋
やその他の色々な手法で、土地家屋調査士を大量に動員していた様ですが、それが一段落したのか、そういう事に
携わっていた人の様でした。
まぁ都の仕事をしていたのならと頼む事にしました。
その土地家屋調査士さんは、東京中から入居者を募集するなどと言って、当時東京の中心地に近い場所やごく高級
住宅地に有るマンションには、外国人ビジネスマン向けに広い間取りのファミリータイプと呼ばれる賃貸物件が有
りましたが、そんな物に近い大きな建物の提案で、あれよあれよと思う間に設計図が出来てしまい、部屋代がどうな
って採算が取れるのかさっぱり判らない物を作ろうとしています。
部屋代と建設費の関係や、その他の経費との関係将来の見通し等を聞いても、ちゃんと調べてやっていると抽象的
返事ばかりで、どうも電話で聞いているだけという疑いが濃くなって来ました。
新米大家奮闘記(4)
借金用シュミレーションプログラム
何とか数千行のプログラムを書いて、幾つかのパラメータを書き込めば、何種類ものシュミレーションを出来る様に
なり、当時盛んに使われた住宅ローンの元利均等払いの数式を組み込みました。
途中で金利が変更された場合もと考えた時、ハタと困ったのは、細かな日割り計算など元金の考え方もいろいろ有るた
め銀行の人に聞きましたが、誰も判りません。
皆、計算センターの様な部署でやっていて、細かい事は知らなくても大丈夫だと言うのです。
結局、見当で作るしか有りません。
兎に角或る意味適当なところで手を打ったシュミレーションを持って、或る都市銀行に行きました。
応接室に通されて、支店長との話です。 お金の話はあまり無く、いわゆる世間話です。
ニューヨーク帰りの支店長氏は、向こうでの暮らしや、ビデオカメラに凝っている事に続いて、経済全般の世間話です。
そこで、株価がおかしいし、PERが高か過ぎる、この経済はどうかしているので、クラッシュするに違いないという話です。
貸付係りの人が出て来て、こんな資料を持ってお金を借りに来た人は居ませんよ! と言うのです。
そして、プログラムソースの提出を求められたのですが、後で考えると誰がそのプログラムを読んだのでしょうか。
こっちはケチを付けられると困るので、万全を期して作ったプログラムなので、ひと安心ですが、色々な借り方が有って
ややこしいのです。
結局何本にも分けて借りる事になりました。
新米大家奮闘記(3)
鉄筋(借金?)コンクリートの始まり
借金で建てたマンションですから、銀行との交渉が大変と思ったのですが、実際には大した事も無く割合簡単に貸して
呉れましたが、その時の某都市銀の支店長がニューヨーク帰りの人で、日本株のPER(株価収益率)が馬鹿に高いじゃ
無いか、普通は20~30とかでしょう? と言うのです。
確かに当時売り出したNTTの株はPERが200近かったと思うので、そうかも知れないとは思いました。
その支店長氏は、絶対にクラッシュしますよ! と自信を持って言うではありませんか。
当時はバブルと言う言葉は使わなかったので、支店長氏はそう言ったのです。
後で考えればそれはバブルの崩壊を予言していたのですが、何時クラッシュするかは誰にも判らないので、不動産屋を
して居なくても土地転がしをしてお金を稼いでいる人達が沢山居て、世間はその事をババ抜きゲームと言っていました。
バブルが崩壊するまでに次の買い手を見つければ良いので、そう言ったのでしょう。
母がやっていた事業物件をいきなり何とかしなけりゃ・・・と言う話になって、子供の頃同級生だった税理士君に聞いて
も、大した案は無く結局マンション建設に話が向いて行きましたが、お金が無いので建設費用は全額借金と言う事にな
ってしまい、事業として成り立つものかどうかも判りません。
借金はかなりの金額になる事は判っていましたから、しっかりした事業計画を示す必要が有ると考えていましたから、
色々なシュミレーションをして見せる必要が有ると考えたのです。
未だパソコンは一般的では無く、MS-DOSの時代ですから、自分で一からプログラミングしないと何も出来ない時代でした。
兎に角何か作らないといけないのですが、自分でもシュミレーションがきちんと出来なければ、お金が何に幾ら掛かってど
うなるか何も判らなかったのです。
当時の常識では、都市銀の方が長期プライムレートが安かったので、都市銀に借りたい、それにはしっかりした事業計画
書を要求されるに違いないと思ったのです。
当時売り出されて間もない構造化ベーシックと言う言語を使ってプログラミングする事に決めたのです。
ハード系をコントロールする言語には、コンパイラを使う言語の方がインタプリタよりも実行速度が早いので、多くの場合に
用いられていましたが、カットアンドトライでたどたどしくプログラミングするには、インタプリタの方が、数行毎にでも実行し
て確かめられるので便利で確実と考えたのです。
新米大家奮闘記(2)
バブル崩壊の洗礼
バブル崩壊がいよいよはっきりして来ると、色んな人が出て来ます。
新しく起業した人がバブル景気に乗って手を広げ過ぎて、夜逃げする人、刑事が数人来ていきなり連れて行かれる人だ
の・・・。
ちょっとあまり経験出来ない様な出来事に出会います。
或る時、営業マン風の男が訪ねて来て、〇〇さんは居ませんかねぇ・・・と言う。 それが判らないんですよ・・・と言うと、
その営業マン風の男性は某有名企業の人だと名刺を出して、かなりの品物の代金を払って貰えないので困っていると言
うのです。
その〇〇さんは妻子を置いて自分だけ何処かに雲隠れしてしまったのです。
こちらは部屋代さえ貰えば良いのですが、無理に追い出す事は出来ませんから、部屋代を払ってくれるまで我慢です。
その〇〇さんは、新しい職種の先がけ的な人で、TVにも出た事が有るのですが、調子に乗って手を広げてしまった様で
す。
家ではいいお父さんだったらしく、帰って来ると子供た達と取っ組み合いの大騒ぎをするので、階下の人はとても困ってい
たのです。 それに、夏は戸を開けたまま大声の電話で、兎に角大声と大騒ぎのうるさい人だったので、とても静かになっ
たのですが、家族にして見れば大変です。
別の部屋では、やはりバブル崩壊の波をまともに受ける業種の人で、やはり本人は雲隠れしたのか、奥さんだけが暫く
住んでいて、何とか支払いの遅れた部屋代を払う約束をしてくれました。
引越しの後、忘れ物が有ったのですが、行先が判らず、捨てて行ったのか忘れ物かも判りません。
未だそんなに古くは無い靴でしたが、他人には価値の無い物なので捨てて行ったのかも知れません。
新米大家奮闘記(1)
役立った現役経験
新築の時は、それなりに不動産屋さんが頑張って呉れた事も有ってか、出だしは順調でしたが、当時はバブル崩壊と
時期が重なり、次第に色々な事が起き始めます。
最初の洗礼は、玄関の大きなガラス戸に大きな穴を開けられました。
不動産屋さんの話では、よくある事だそうで、新築は妬みからよくやられるのだとの事です。
次には、夜中の泥棒でした。 或る会社の事務所に使っていた部屋にです。
その時の話では、北沢警察署管内は空き巣を初め泥棒の多い所だとか・・・。
そこで仕方なく、自前のドロボー避けを作る事になります。
現役では弱電屋(商用電源では無く、主に直流で働く半導体などを使った電子回路系を主体とする職種分類)なので、
何処にも売っていないドロボー避けを作る自信は有りましたが、光学的な部分が自作するのは結構大変だったのです。
少し時間が掛かりましたが、侵入者が有ると時差が有ってから働く様な仕掛けをドロボウーが入る一階を全部カバーする
様に設置してからは、一度もドロボー騒ぎは起きませんでした。
物が壊れる時は大抵いきなりそれが起こるのは誰でも経験している事ですが、廊下の明かりが点かなくなりました。
東電の為にこちらで用意した電気室の外に付いているセンサーの故障です。
プロに頼むまでもなく、自分の出番と張り切って分解して、故障の原因を調べたところ、とても簡単な安い材料を使った
部品の電気の接点が壊れています。
取り替えても又直ぐに同じ故障が起きることは目に見えていますから、ここはなるべく長寿命のオリジナルセンサーを作
る事にして、手作り回路を作り、屋上に付けて、庭の暗い場所にも照明を新設する事にしました。
それまでは、タイマーでしのぐわけです。
出来上がった照明用センサー回路は20年以上経った今でも壊れないで働いていますが、回路基板に使う半田はあまり
長い寿命では有りませんから、そろそろ新しくする必要があります。
電気代も馬鹿にならないので、東の空に測光用センサーを向けて、ギリギリに設定します。
その次は、部屋代を払わない人が出て来ます。 これは何とか不動産屋さんに交渉してもらい、解決しますが、こちらも、
元々借金ばかりで建てたものなので、少し心配になります。
結構肩で風切るタイプの人も居て、契約もしていないのに勝手に車を止めたり、上から目線で怒鳴り散らしたりと・・・。
そう言う人に限って、経済的にどうかなる人が多いものです。
当時は、世界中の銀行が有ると思われるほど色んな銀行が東京に有りました。
そして、金利が15%以上の海外銀行も有ったのです。
日本版金融ビッグバンと言われる規制緩和が日本でも直ぐに始まると言う様な話が有りましたが、未だ行われてはいま
せん。
それは、ロンドン証券取引所で行われた証券制度改革をビッグバンと呼ばれた事から、日本版ビッグバンと言われてい
ましたが、銀行と証券会社の垣根が一部取り払われた様なものだったのですが、日本版では当の銀行があまり熱心で
は無い様に思いました。
真空ガラスの威力は本当か.
真空ガラスの威力は本当か 外断熱壁構造のRCマンションになったわけ(21)
日本板硝子から発売されている真空ガラスの事です。
1994年にシドニー大学と日本板硝子が提携して、世界で初めて既存の窓枠に対応出来る真空ガラスの量産に成功した
と書いてあります。
そこで、スペーシアという真空ガラスなら結露しないか?
という疑問が付きまとい、どうしても実際に試したくなりました。
これまでの複層ガラスは、最初ショーケースのために作られていた様ですが、1970年代の始め、自宅のガラスに旭ガラス
の複層ガラスを使おうとして、北海道でしか使われて居ないと聞かされ、又、納期が長く掛かると言われて断念した経験
がありました。
本当に真空なら、これ以上の断熱効果は望めない事になりますから、かなり期待感が湧いて来ます。
熱伝導としては、ガラスが潰れない様に間に入れるスペーサーを伝わるか、回りの淵から伝わるか、後は輻射しか有りません
から、魔法瓶の様なものの筈です。
では、これまで多く使われて来た複層ガラスと真空ガラスはどうちがうか比べてみると、以下の様です。
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複層ガラスは、ガラス3mm+6mm間隙+ガラス3mmですが、中は乾燥空気かアルゴンガスです。
それに比べ、スペーシアは3mm(Low-Eガラス)+0.2mm(真空)+3mm(透明ガラス)で、中は真空ですが、潰れない
様に、細い柱が20mmおき位に入っています。
各熱貫流率は、3mm単板=6.0、12mm複層=3.4、スペーシア=1.4 となっていますから、複層ガラスの半分以下しか
熱を通さないことになります。 単位は、熱貫流率 W/㎡K です。
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でも大抵の自然法則の数値と、人の感じ方はかなり違う場合がありますから、体感しないことには話になりません。
そこで、或る部屋のガラスを全部変えて見ました。
その結果は、なるほど! と実感出来ましたが、サッシは同じアルミなので、やはりサッシの結露は同じです。
当たり前ですが。 しかし、ガラスにはそれでも少しは結露します。
湿度を下げると寒く感じますから、50%前後、温度27~28度にすると、ガラスへの結露は真冬だけ、結露してしまい
ます。
うっすらですが、一応結露は有ります。
それでも、窓ガラスからのコールドドラフトはあまり感じなくなったので、一応の効果は有ったわけです。
このコールドドラフトと言われる、窓カラスで冷やされた空気が床を這って来る寒さはかなりのもので、思ったよりも
寒さを感じるものです。
ですから、昔の床暖房の設計には、床にコールドドラフトを防ぐための穴が開いた設計が沢山ありました。
家造りで先を行っている先輩方の意見は、やはりサッシ自体を二重にすることだそうで、これに勝る物はないかも知れ
ません。
北欧の住宅を買った人が居て、シベリア鉄道で設計通りにカットした木材やその他の材料を運んで来るそうで、建築途中
の家を見て来ましたが、窓枠(サッシ)はプラスティックで、窓は三重になっています。
プラスティック窓枠は日本では、一番外側に金属サッシを使わないといけないそうですが、別荘地の様な場所でしか出来
ないのでしょう。
スエーデン住宅は木製サッシの大きな扉ですが、中に木材を沢山使っているので、梅雨の様な時期には部屋内は割合
湿度が低いとの解説でした。
スペーシアの解説に、
室温20度、湿度60%で結露の発生する外気温は、ー23度という資料が有りますが、室温20度はちょっと実用的とは
言えないと思います。
20mm間隔でスペーサーが入っています

ガラスの隅に有るマーク